639杯目:富士そば8月のフェアメニュー 立ち食いそば屋のミニタコライス丼セット
沖縄のB級グルメ「タコライス」は、いまや定番の“カフェめし”となり、全国的な知名度を誇るまでになった。それにともなって、材料や盛りつけも少しずつ洗練されていった。トルティーヤを散らしたり、アボカドを添えたり。東京のカフェで見かける「タコライス」はどれもおしゃれで華やかだ。

しかし、沖縄の「タコライス」は“カフェめし”とはほど遠い一品も珍しくない。タコスミート・トマト・チーズ・レタスなどのトッピングは共通しているが、たいてい大味で盛りつけも大雑把。地元のスーパーマーケットをのぞくと、タコスミートとチーズだけの超シンプルな「タコライス」が200円程度でで並んでいる。そこに「おしゃれ」「華やか」という概念は存在しない。

「タコライス」はもともと寛容な食べ物なのだと思う。そうでなければ、B級グルメとしてここまで浸透しなかったはずだし、“カフェめし”としての道も拓かれなかったはずだ。だから、富士そばで「立ち食いそば屋のミニタコライス丼セット」(820円)が提供されたときも、驚きこそしたものの、さほど違和感がなかった。

「立ち食いそば屋のミニタコライス丼」は8月のフェアメニュー。「そば屋の~」とある通り、富士そばなりのアレンジが施されていておもしろい。タコスミートとトマトはオリジナルに倣い、レタスはカットねぎで代用。ついでに、そばの定番トッピング・あげ玉を散りばめている。なかなか大胆なアレンジだが、彩りだけで見るなら歴とした「タコライス」である。

最初はねぎがミスマッチのように思えたが、食べてみたら意外と気にならなかった。タコスミートの濃厚な味わいが、ねぎの辛味をうまくかき消している。
あげ玉のさくさくとした食感もよいアクセントに。これはもしや、トルティーヤの代用ということなのだろうか。狙ってやっているなら、素直に脱帽。突き抜けたアイデアである。
昨年の「もずくそば」以来、沖縄との結びつきが強くなった富士そば。今回のフェアメニューが好評なら、毎年恒例になる可能性もありえるか? 第三弾にも期待したい。
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