329杯目:富士そば渋谷桜丘店でまんじゅ天そば
「甘いものに塩味を加えるとより甘みを感じる」。これを対比効果というらしい。通説として広く浸透しているが、幼少時代は受け入れられなかった。「ほんとかよ……」と、疑ってかかっていた。
年を重ねて舌が肥えたからか、あるいは味覚が鈍化したからか、当時の不信感は払しょくされた。生ハムいちじく結構、塩バニラ大いに結構である。
昔を思い出したのは、富士そば「渋谷桜丘店」のある店舗限定メニューを見かけたからだ。

「まんじゅ天そば」(490円)。まんじゅうの天ぷらをトッピングしたそばである。富士そばのフェイスブック記事によると、福島県のご当地グルメ「天ぷらまんじゅう」に着想を得たという。当然のことながら、そばに盛りつけるのは富士そば流のアレンジである。

再び、フェイスブック記事からの引用になるが、まんじゅうは「『ピンクまんじゅう』と『よもぎまんじゅう』の2つを使用しております」とのこと。「よもぎまんじゅう」はわかる。けど、「ピンクまんじゅう」とは何者だ? 桜フレーバーということなのだろうか。

ここまで「まんじゅう」と書いてきたが、実際は餅にちかい食感である。中のつぶあんは甘さがひかえめなので、そばつゆの味ともバランスしている。つゆにくぐらせて一口かじると対比効果で、より味わい深くなる。意外と悪くない、というのが率直な感想。この味を求める客もいると思う。実際、女性客から好評だという。これに気をよくして、どんどんエスカレートしてしまわないか怖い気もする。
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