550杯目:蕎麦食堂いけちでカレーかつ丼
富士そばの名物「カレーかつ丼」の輪が広がりつつある。先日の「THE CURRY SCRAMBLE」に続き、7月より「蕎麦食堂いけち」での販売がはじまった。
「蕎麦食堂いけち」は、板橋区役所駅近くにあるセルフ式のそば店。今年4月にオープンしたばかりで、店長を務める兄とその妹、母親が中心となって店を切り盛りしている(ほかにもスタッフがいる模様)。
「食堂」と謳っているだけあって、メニューが豊富。そばにはじまり、丼もの、定食、お酒……と、券売機には約50種類のボタンが並ぶ。
お店は住宅街の一角にあり、まるで「暮らし」の内と外の境界線に立っているかのよう。まわりに飲食店の気配がないので、仕事帰りの道すがらについつい立ち寄ってしまいそうだ。
そんな気鋭のそば店がなぜ「カレーかつ丼」を? じつをいうと、いけち兄妹は富士そばの元店長。兄は上野広小路店や明治通り店を、妹は高田馬場店や恵比寿駅前店などを担当していた。
限定メニューの開発頻度でいえば、妹の店舗が多作だった。「恵の油そば」や「クリームシチューうどん」といった技あり!な一品を定期的に提供していた。兄の店舗の限定メニューはどちらかいうと、からめ手で攻めてくる。常識破りの「蕎麦リアン」が最たるもので、どこか狂気すら感じる。記録よりも記憶に残るタイプだ。
いけち兄妹の創作意欲は独立後も変わらず、いや、むしろ富士そば時代よりも勢いが増している。オープン以来、メニュー開発を続けており、その一環として登場したのが古巣の名物「カレーかつ丼」だった。
このコラボレーションはいけちサイドからの提案だったようで、ツイッターでも「カレーかつ丼の美味しさを皆様にお伝えしたい」との思いを打ち明けている。
いけち式「カレーかつ丼」は納得の出来栄えで、やはりコラボを提案するだけのことはある。カレーソースもかつ丼のタレも甘さが抑えられていて、ジャンクフード感の強い本家とは対照的。カレーソース、かつ丼(の頭)、お米が織りなす三位一体の味わいを堪能したくなる。
かけつゆを使ったスープが付いてくる点もポイントが高い。カレーライスとはミスマッチに思えるが、これは本家の提供スタイルに倣ったもの。富士そばファンならにやりとさせられる。
発売からおよそ1週間、いけち式「カレーかつ丼」は早くも進化の兆しを見せている。兄弟は「カレーピザ丼」のアイデアをツイッターで示唆(どんなメニューだ)。もはや「カレーかつ丼はフリー素材」と言わんばかりである。ひとり歩きした「カレーかつ丼」がやがて、本家に逆輸入される日もそう遠くはないだろう。
希少性:★★★ インパクト:★★☆ コスパ:★★☆
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