2024-08-07

609杯目:富士そば渋谷東口店でたっぷりキャベツの冷し旨塩そば

 この頃、本業がバタバタしていて、まともに自炊する時間がない。できることといえば、冷凍のうどんを茹でたり、トマトを切って皿に盛ったりするくらいで、料理未満の食事で腹を満たしている。粗食(本来の意味での)に甘んじていると栄養のバランスが乱れるので、既製品の「千切りキャベツ」を付けることも多い。ただの気休めだが、レモン汁と塩、粗挽きコショウをかけるとまずまずの味になる。

画像は富士そばFacebookより拝借

 日頃から親しんでいる身でありながら、正直なところ、千切りキャベツを軽んじている自分もいる。サラダやとんかつの付け合わせくらいしか用途がなく、つぶしのきかないやつだと見下げている。もしかしたら、不器用な自分自身と重ねて、同族嫌悪が発動しているのかもしれない。
 しかし、その考えも改めなくてはならない。なんと、千切りキャベツを主役に据えるそばが現れたのだ。富士そば渋谷東口店、代官山店、大井町駅前店などの5店舗で販売されている「たっぷりキャベツの冷し旨塩そば」(620円)である。

渋谷東口店で食べてきた。きみ、写真とちがわない?

 主なトッピングはキャベツ、揚げ玉、刻み海苔。キャベツには塩だれがかかっていて、居酒屋にある「やみつきキャベツ」に近い。塩味が利いているので、炎天下を長時間歩いたあとなら、より胃に染み入りそうだ。
 それにしても、そばにキャベツを盛るなんて、斬新すぎてもはや発明の域である。ありそうで、だれにもできなかった(やらなかった)メニュー。よく社内の稟議が下りたな、と感心する。開発者を除いた各店長は「うちもこれをやるのか……」と、息を飲んだにちがいない。その心中は察するに余りある。

自宅で再現。刻み海苔は塩昆布で代用した

 取り扱い店舗が比較的多いのは、使うアイテム数が少なく、調理に負担がかからないからだろうか。実際のところ、うちの冷蔵庫のあり合わせですぐに再現できた(調理のポイントは、道徳心をマヒさせること)。サンプル写真に倣い、そばを土台にして揚げ玉、キャベツの順でピラミッドを建造。食べてみたら、食感がグラデーションを成していることに気づく。シャキシャキ、サクサク、ずるずる……案外、練りこまれたメニューなのかもしれない。御見それしました。
希少性:★★☆ インパクト:★★★ コスパ:★★☆

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