2021-06-03

406杯目:富士そば市ヶ谷店でしのぶの肉味噌稲荷

 「しのぶの肉味噌稲荷」(2個200円)。最初目にしたとき、人情系グルメ漫画(連載20年超え)の1エピソードにありそうなネーミングだと思った。

「しのぶ」とは考案者のことだろうか。人の名を冠したメニューはこれまでに「さっちゃんのいなり」「小山さんの唐揚げ」が販売されている。これら作り手の人柄が伝わってきそうなネーミングと比べ、「しのぶの肉味噌稲荷」は、いささか突き放した表現のようにも思える。
 人気のない厨房で一人佇むしのぶ。さめざめとこさえているのは、明朝売り場に並ぶ肉味噌稲荷。演歌の世界がそこにある。



 インターネットを調べたところ、関東のいなりずしは俵型が主流らしい。ところが、こちらの肉味噌稲荷はやや扁平気味。しのぶのささやかな反発かと思いきや、これがとても食べやすい。乾燥でくちびるの両端が切れている人にとっては、これ以上のないホスピタリティ。しのぶは人の痛みを知る女(?)なのだ。
 箸で切ると、中には肉味噌がたっぷり。味噌も油揚げもパンチの効いた甘さで、ヤミツキ度が高い。値段も手ごろなので、きっとロングセラーになるだろう。
希少性:★★★ インパクト:★☆☆ コスパ:★★★

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