2021-06-04

407杯目：富士そば池袋東口店で冷麺風そうめん

　夏になると富士そばの一部店舗でそうめんの販売がはじまる。私の知る限りでは、券売機に並ぶようになったのはこの３、４年ほどのことである。スーパーで買えるようなふつうのそうめんなのだが、立ち食いそば店というレアなシチュエーションがスパイスになり、妙なありがたみを感じる。

　今年の初そうめんは、池袋東口店の「冷麺風そうめん」（590円）だった。そうめんがつゆに浸かったぶっかけスタイルで提供される。透明な器は涼し気で、キムチやレモン、ゆで卵などの彩りがよく映える。

　レモンのトッピングは珍しい。貴重な味ヘン要員なので登板のタイミングは熟考したいところだ。

　２枚のチャーシューは、職人が持てる技術のすべてを注いだのではないか、と思いたくなるほど薄切りである。箸で持ち上げると空調でそよいでしまいそうだ。だが、それがいい。あと数ミリでも厚くなろうものなら、チャーシューばかりが主張してしまい味のバランスが大きくくずれてしまう。この薄切りによって器のなかの生態系が保たれているのだ。