2023-01-23

508杯目:富士そば赤羽店で謹製 豚カレーうどん

フードライターになろう!』(浅野陽子 青弓社)の購入を検討している。いわゆる「職業ガイド」で、飲食店や食品メーカーに取材するフードライターになるまでの道筋をレクチャーする。業界未経験者に向けた内容ではあるが、あらすじにあった一文に興味を引かれた。どうやら「『おいしい』という言葉を使わずに食の魅力を伝える文章術」が紹介されているらしい。
 人に食の魅力を伝えることは難しい。「おいしい」と思う感覚は誰しもが持ち合わせているが、それゆえに良し悪しを測るモノサシは人それぞれだ。知人に勧められた飲食店が自分の口には合わなかった、なんてことはザラにある。自分の思っている「おいしい」を誤解なく、正確に発信するためには、それ相応のテクニックが求められるのだ。「文章」ともなると、ハードルがさらに上がる。なぜなら、文章は映像や画像よりも情報伝達能力が乏しいからだ。盛りつけ、焼き色、サイズ感、器の彩り……と、映像であれば一発で伝えられる情報も文章では数十文字から数百字を要する。しかも、思い描かれるイメージは読み手に大きく依存するときたもんだ。そんなしがらみと日々向き合っているわけだから、先述の『フードライターになろう!』に光明を見出したくもなるというもの。
 ところで、私は食の惹句に使われる「謹製」という言葉に弱い。「謹製 五目肉まん」「○○屋謹製 あんバター」「女川謹製! 浜の母ちゃんおもてなしセット」など、「謹製」とつくだけで魅力が2割増しに見えてしまう。熟練職人による格式高い逸品に思えてしまう。普段馴染みのない「謹」と「製」の取り合わせに気後れでもしているのか(画数の多い文字はただそれだけで威厳がある)。「謹製」とは「心をこめて製造すること」みたいな意味合いで、私が考えているほど大袈裟な表現ではないのだが……。

今回は赤羽店を訪問。

 だから、富士そばで「謹製 豚カレーうどん」(620円)が出たときは「やられた!」と心が射抜かれた。「うまそう!」と胸が弾んだ。
 2021年11月に赤羽店、自由が丘店、武蔵小山店で販売がスタート。以降、秋冬メニューとして、ダイタンミール系列の一部店舗で取り扱われるようになった。

 通常メニューの「カレーうどん」と「謹製 豚カレーうどん」とでは、調理工程からして違う。前者は「かけそば」にカレーソースをかけただけの立ち食いそばスタイルだが、後者は一手間加えてつゆを用意する。注文が入ったら、かけつゆとカレーソースを小鍋に投入。そして、豚肉や玉ねぎ、うどんとともにぐつぐつ煮こむ。しっかり火が通ったら、そのまま器に盛りつけて完成だ。

 簡易式のカレーうどんよりもつゆのまとまりがよく、豚肉のうま味もしっかり溶けている。値段を考えたら、町そばのカレーうどんにも引けを取らない満足度。このクオリティなら、提供時間の長さも気にならない。やはり「謹製」がつくメニューはこうでなくっちゃ。謹製様様、謹製万歳。謹製よ、永遠なれ。
希少性:★★☆  インパクト:★★☆ コスパ:★★☆

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