524杯目:富士そば西武新宿店でたぬきラーメン
企業のマーケティングにおいて、いまやSNS運営は大きなウェイトを占めている。富士そばも多分に漏れず、Twitter、Facebook、Instagramを運営。Instagramはややサボり気味だが、Twitterのアカウントはいずれのツイートも数百単位のイイネやリツイートがつく。ネットミームを駆使したツイートがウケているようで(個人的には着いていけない部分もある)、フォロワーも2万人台に突入した。
Facebookアカウントはさほど流行っていないが、Twitterアカウントにはない独自のアプローチがあり、私は気に入っている。新商品の告知はもちろんのこと、店長や店舗、試作品などを紹介するほか、ときには中の人によるエッセイ(?)も飛び出す。こうした“連載”記事のなかに「47都道府県、試作品の旅」がある。各地のローカルフードに着想を得た試作メニューを紹介する企画だ。例えば、長崎であれば「カステラ天」とか、栃木県なら「ぎょうざ丼」とか。
西武新宿店で食べてきた。
しかしながら「試作品の旅」というだけあって、実現することが難しそうなものばかり。てっきり、お遊び企画だとばかり思っていた。ところが、この度あるメニューが販売に至った。「たぬきラーメン」(490円)である。和歌山にある軽食店「グリーンコーナー」発祥の「てんかけラーメン」にならった一品で、西武新宿店と十条店で販売される。
いつもの醤油ラーメンにたっぷりのたぬきと少々のわかめ・ねぎ・紅生姜。ビジュアルだけなら、本家を忠実に再現している。シンプルイズベスト。ミニマルな美しさに息を呑む。
富士そばの醤油ラーメンは、よくも悪くもあっさりした味わい。なかには、物足りなく感じる人もいるだろう。そうした欠点を補うかのように敷きつめられた「たぬき」。圧倒される量だが、染み出る油がスープと絶妙にマッチする。紅生姜の辛味もいいアクセントに。つけ入る隙のない、完成された構成に驚くばかりだ。富士そばというより、てんかけラーメンを生み出したグリーンコーナーに、ただただリスペクトである。
取り扱い店舗をもっと増やしてほしいところだが、本家への建前上、小規模展開にとどめておくのが正解か?
希少性:★★☆ インパクト:★☆☆ コスパ:★★★
コメントを残す