2023-08-19

553杯目:富士そば王子店でミニぎょうざ丼セット

「羽根つき餃子」の「羽根」に存在意義を見出せないでいる。アレはもともと調理中に出る副産物で、美味しさはとくに重視されていない。パリパリの食感を楽しむにしても、1皿に見る羽根の総量はごくわずかで、じっくりと味わうほどの量もない。にもかかわらず「元祖羽根つき」を大々的にアピールする店があるから不思議だ。結局のところ、客は「羽根」に「お店っぽさ」を求めているのかもしれない。

 富士そば王子店は、社会に根づく謎の羽根つき信仰に真っ向から抗う。8月に発売された「ミニぎょうざ丼セット」(650円)の餃子は潔いまでに「羽根なし」だ。というか、揚げ餃子だから羽根もへったくれもないのだが。これは調理設備の関係とオペレーションの効率化を求めた結果だろう。

 富士そばで餃子を食べるのは、いまはなき人形町店以来。そういえば、そのときも揚げ餃子だった。王子店の餃子は大ぶりで、人形町店で食べたものよりも立派。ひき肉と野菜の割合は6:4くらいで、噛みしめると肉汁とともにキャベツの甘みがじわりと広がった。

 一応、タレが別で付いてくるのだが、味ヘンせずとも充分美味しくいただけた。食べごたえがあるので、焼き餃子よりも揚げ餃子が向いているかもしれない。

 餃子の下には、食べラーを使ったまぜごはんが。なるほど、カリっと揚がった餃子は汁気がないから、白米と味が交わりにくい。ならば、ごはん自体に味をつけてしまえ、ということか。
 富士そばの公式アナウンスによると桃屋の食べラーらしい。さすが、桃屋。絶妙な辛味が食欲に火をつける。このまぜごはんだけで、ごはんが何杯もいけそうだ。餃子との相性もいわずもがな。
希少性:★★★ インパクト:★★☆ コスパ:★★☆


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