665杯目:富士そば大井町店でベーコンポテトかき揚げそば
ここ最近、富士そば以外の立ち食いそば店を巡っている。珍そば探しが主な目的だが、それぞれのお店の個性や流儀が垣間見えておもしろい。これまで素通りしてきた魅力に触れる度、立ち食いそばの奥深さを実感する。今さらながら立ち食いそば好きの気持ちがわかってきた。
富士そば=珍そばのイメージが強いが、競合の立ち食いそばチェーン店も負けていない。例えば、しぶそばも積極的に個性的なメニューを提供している。「グリーンかき揚げそば」「牛タン入りつくねとはんぺんそば」「彩り野菜の薬膳白(フォー)」……と、いずれも奇抜さだけを狙うのではなく、万人向けの味にチューニングされている。

富士そばもしぶそばの動向を意識しているのか、この度、大井町店で「ベーコンポテトかき揚げそば」(650円)が登場。どこに出しても恥ずかしくない、文句なしの珍そばである。ただ、このかき揚げに既視感を覚えた人もいるかもしれない。じつは「ベーコンポテトかき揚げ」(B.P.K)は、しぶそばが元祖なのだ。今年の8月から9月にかけて復刻販売され、その熱が冷めやらぬうちに富士そばが追随したかたちになる。

「B.P.K」の実物は通常のかき揚げと大差ない見た目をしていた。POPのイメージ写真のように薄衣で仕上げるのは技術が必要なのだろう。もう少しベーコン、ポテトの存在感が際立っていれば、より強烈なビジュアルになっていたはずだ。衣が厚い分、食べごたえは増すので一長一短ともいえる。

しぶそば版はサイコロ状のベーコンが使われているが、富士そば版は細切りのベーコンが散りばめられていた。食べ進めていくうちに衣がつゆに溶けていき、じょじょにベーコンやポテトが顔をのぞかせる。ベーコンの塩味とうま味、ポテトのほくほく感、そしてつゆのだし感が混然一体となり、なんとも背徳的なうまさを生み出していた。
今回の富士そば版B.P.Kを、しぶそばはどう受け止めているのだろうか。元祖として黙って見過ごすのか、それとも新たな一手を繰り出すのか。発売の経緯を妄想しながら、しぶそばからの“アンサー”に期待したい。












