466杯目:富士そば明治通り店でミニ生姜サバかつ丼セット
昔から食事に執着がない。口に入るものは基本的にすべて美味しくいただける。カニカマもズワイガニのボイルも平等。感動の差はあれど、どちらもリスペクトを抱く。
こうした言い分は、自分を誤魔化しているだけなのかもしれない。なぜなら、美食家にも憧れを抱いているからだ。例えば、赤ワインのテイスティング。グラスに注がれた深紅の液体を一口ふくんだのち「原っぱをかけまわる野うさぎの脚裏から漂う芳醇な香り」などと、庶民には到底理解できない品評をしてみたい。憧れの根っこにはなにがあるのか。なんのことはない、自分が味オンチなのではないか、という負い目である。
先日もおのれの味覚に自信が持てず、悶々とした。富士そば明治通り店の新メニュー「ミニ生姜サバかつ丼セット」(610円)を食べたときのことである。聞き慣れぬ「サバかつ」なる言葉。パパ活・ママ活に類する隠語だと言われても信じてしまいそうだ。
サバかつは、コロッケやメンチカツのような小判型。サバの切り身から連想して、てっきり四角いかつが出てくるのだと思っていた。サンプル写真があるとはいえ少し脳がバグる。
サバかつを割ってみて二度びっくり! なんと、中がつみれ状になっている。さながらサバを使ったメンチカツ。あっさりとした味わいで従来のメンチカツのような油くどさがない。
生姜の風味はいまひとつ。しかし、噛めば噛むほど魚のうま味がじわじわと口の中に広がっていく。温かいそばのトッピングにも合いそうだ。
満足して店を出たわけだが、ここで疑問が湧いてくる。あれは本当にサバかつだったのだろうか……。店長が厨房を仕切っていたから、間違いはないはず。しかし、チーズメンチカツの在庫が紛れ込んだ可能性は? 現にメンチカツと見まがうばかりの仕上がりであった。メンチカツを食べて魚のうま味を感じているようなら、私の味オンチも行きつくところまで行きついたということだろう。
希少性:★★★ インパクト:★★☆ コスパ:★★☆
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