477杯目:富士そば吉祥寺店で冷しツナマヨそば
富士そばでは、期間限定で提供されていた食材がかたちを変えて再登場することが珍しくない。例えば、「もつそば」発売の翌月に「モツ煮玉カレーライス」が登場したり、「ラクサそば」の終売後に「ラクサライス」が登場したり。「焼き直し」や「ありあわせ」などとネガティブにとらえることもできるが、私はこうしたメニューを「転生モノ」とカテゴライズし、ひとり楽しんでいる。巡り巡って行きついた、転生の経緯に思いを馳せるのも醍醐味のひとつなのだ。
吉祥寺店、大井町店、西小山店で提供されている「冷しツナマヨそば」(500円、写真は吉祥寺店)は、転生モノのなかでもこれ以上ないほどにコンセプトがわかりやすい。前世は、6月のタペストリーメニューだった「和風ツナマヨ明太丼」。ツナマヨ明太丼はあまり人気がなかったようなので、現世に未練を残して化けて出たのかもしれない。その引き換えにからだの一部(明太子)を失ってしまったのだ。
そばとツナマヨという異色の組み合わせに眉をひそめる人もいるだろう。義憤に駆られる人もいるだろう。だが、私はどこか懐かしさを感じていた。
既視感の正体は2015年に、代官山店で出会った「ツナサラダそば」である。むかしの写真を見返してビックリ! 刻み海苔がカイワレになっている点や薬味の有無をのぞけば、ツナマヨそばと生き写しではないか。こうなってくると、このツナサラダそばがツナマヨ明太丼に転生し、そこからさらにツナマヨそばに回帰したとも考えられる。まるで『火の鳥』に出てくる猿田彦。悠久なる珍そばの大河に首まで浸かった気分である。
つい思考を飛躍させすぎてしまった。気になるツナマヨそばの味はというと、これがなかなか悪くない。おにぎりの定番具材ツナマヨに海苔や出汁の風味が加わって、上手いこと和風テイストに着地している。7年前に食べたツナサラダそばよりも好印象。ここに明太子を添えたら、新たな扉が開かれそうだ。次回はどんな姿で再登場を果たすのか、いまから楽しみである。
希少性:★★☆ インパクト:★★★ コスパ:★★☆
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