593杯目:富士そば国立店で富士そば流トマトカレー
 今から13、4年前、20代半ばの私はとにかく金がなかった。編プロの契約社員として毎月給与を得ていたものの、その大半を飲み代や交際費に溶かす日々。今にして思えば、仕事のストレスやプレッシャーから目を背けたくて、浪費に走っていた。
 ケータイの月額料金を支払うことすらままならず、家賃を滞納したことも数知れず。にも関わらず、生活を見直そうなどとはこれっぽっちも考えていなかった。しかし、金はないわけで……。
 しょうがないので食費を削って、その場しのぎの節約を試みた。出社日のランチは、セブンイレブンのPBから出ているカップ麺とスティックメロンパンでまかなった。これで1食あたり200円程度に抑えられる。この際、栄養の偏りなんて気にしていられない。休日はより清貧を極め、6枚切りの食パンを3回に分けて食べ、空腹を凌いだ。つまり、1食につき食パン2枚。紙カップ入りの安ジャムで味ヘンするのが唯一の楽しみで、りんごやオレンジマーマレード、ブルーベリーなど色々なフレーバーを試した。

 当然ながら、そんな食生活が身体にいいわけがない。2年間も続けていると、体重が50キロ台まで落ちてしまった。今より10キロ近く痩せており、かなりみすぼらしい出で立ちだったにちがいない。 
 たまの贅沢に食べていたのが、松屋の「フレッシュトマトカレー」だ。一皿290円のありがたみ。ガツンと効いたニンニクに食欲が掻き立てられ、いつもざばざばと口に流しこんでいた。ただ、美味しかったかというと、正直微妙なところだ。カレーソースの味がハンバーグにかかっているトマトソースみたいで、カレーライスだと思って食べたことは一度もなかった気がする。すべては安さに惹かれてのことだったのだ。
※なお、現在は改心して人並みの生活をおくっている。

なぜ、このような思い出話を書き綴ったのかというとですね、先日富士そば国立店でトマトカレーライスを食べたからです。その名も「富士そば流 トマトカレー」(600円)。一見すると、単なる温玉入りカレーライスだが、よく見るとカレーソースにトマトが混ざっており、赤茶色をしている。オーダー直後に厨房をのぞいたら、小鍋からぐつぐつと湯気が上がっていた。どうやら、通常のカレーソースにトマトを調合しているらしい。

 特筆すべきは、カレーソースそのものにアレンジを加えた点である。「カレーコロッケのカレーかつ丼風」や「もつ煮玉カレーライス」など、過去に富士そばで登場したカレーライスとは一線を画すアプローチなのだ。
 トマトカレーソースは華やかな香りで、ややシャバシャバしている。無難な味かと思いきや、かなり酸味が効いていておどろいた。カレーソースとトマトの勢力が拮抗しており、いつものカレーライスとは味の印象が全然ちがう。これは好みが別れそうな味である。

 温玉を割るとシャバシャバ感がより際立って、もはや汁かけメシの趣きに。はたして、これはカレーライスなのだろうか――、ふと疑問が頭をもたげところで完食。それ以上の追求は叶わなかった。
希少性:★★★ インパクト:★★☆ コスパ:★★☆
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