2020-06-23

334杯目:富士そば上野店で岩下の新生姜&鮫の天ぷら

 この7、8年で、グルメ雑誌やグルメサイトに「マリアージュ」という言葉がすっかり定着したように思う。定着、というか濫用されすぎて紋切型になってしまった気配も漂う。
 「マリアージュ」は、フランス語で「結婚」を意味する。グルメ媒体においては、相性のよい食べ合わせに用いられるレトリック。たとえば「ワインとチーズのマリアージュ」とか。私はこの表現を雑誌「hanako」で知った。当時は駆け出しだったので、洒脱な表現に妙な憧れをいだいたものである。

 富士そばでも意外なマリアージュが生まれた。学芸大学店と上野店で提供されている「岩下の新生姜&鮫の天ぷら」(単品190円)である(写真は上野店のもの)。「鮫の揚げ出し」にさら続く、鮫メニュー第二弾。鮫の切り身に「岩下の新生姜」を乗せて天ぷらにした、ミスマッチ極まりない一品だ。

 特筆すべきは「岩下の新生姜」(25グラム使用)だろう。やさしい辛さとさわやかな香りは、天ぷらにしても変わらず。衣からチラリとのぞくピンク色に目が奪われる。

 伴侶となる鮫肉もしっかり仕事している。クセのない淡白な味わいが新生姜の風味を一層際立たせる。新生姜と鮫肉の絶妙なバランス感に思わずうなる。トガった辛さの「紅生姜天」とは対照的だ。新生姜を使った新メニューは、ほかにも開発が進んでいるという。コストを度外視すれば「新生姜天」も実現可能か。今後の展開に期待したい。
希少性:★★★ インパクト:★★★ コスパ:★★☆

 

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