627杯目：富士そば３月のフェアメニュー 海老かき揚げそば＆ミニ海老かき揚げ丼セット

「４つくれ」
「２つで十分ですよ」
「いや４つだ」
「２つで十分ですよ！ わかってくださいよ～」

　SF映画の金字塔「ブレードランナー」のワンシーン。主人公・デッカードと寿司店の店主が交わす、短いけれど印象的なやりとりだ。デッカードはエビ（？）を４つ求めるが、店主は「２つで十分」と突き返す。なんだか意味深だが、そこから話が展開するでもなくデッカードは黙々と食事を済ますだけ。一体なにを見せられているのか……。本筋にはまったく関係がないのにもかかわらず、なぜか記憶にこびりついて離れない。もはや劇中屈指の迷シーンといえるだろう。

　富士そば関係者にもブレランファンがいるのかもしれない。３月発売のフェアメニュー「海老かき揚げそば」（650円）のかき揚げにはエビが４尾も入っている。大ぶりのエビが衣にゴリっと浮かび上がり、なかなかの存在感。これにはデッカードもほくそ笑むに違いない。

　エビは殻つき。このテのかき揚げでは珍しい気がする。かぶりつくとバリっと小気味よい音とともに、香ばしい風味が口いっぱいに広がった。「ミニ海老かき揚げ丼」（セットで790円）のかき揚げは甘辛く煮こまれていて、香ばしさがさらに際立っている。

　じつをいうと、海老かき揚げは昨年から一部店舗で販売されていた。食べてみたところ、エビが３尾しか入っておらず、ちょっと物足りなかった。しかし、試験的な販売を経て、エビが４尾にグレードアップ。これなら、あのときの侘しい気持ちもいくらか報われるというものだ。