635杯目:富士そば綾瀬店でミニうなマヨソース丼セット
今年はニホンウナギの稚魚が豊漁らしい。量にして前年の2倍以上。稚魚が成長する秋以降には、うな重の価格が値下がりする可能性も高いという。
例年、土用の丑の日が近づくとこの手のニュースが盛り上がる。まるで国民的関心事のようにも思えてくるが、私自身はあまり関心をもてずにいる。うなぎは好きでも、嫌いでもない。たとえ「一生食べるな」と言われても、正直さほど困らない。

2年ほど前から、富士そばでもうなぎを使ったメニューを提供するようになった。これが私とうなぎをつなぐ唯一の接点になっている。とはいえ、前のめりになって食べに行くようなことはしない。「うなかつ丼」くらい攻めたメニューなら歓迎するが、ふつうの「うな丼」ではいまひとつ気分が上がらない。とくに安いわけでもないし「一度食べたら充分」となってしまう。

ところが、今夏のうなぎメニューは一味違った。「うな玉丼セット」(930円)に、「うなマヨソース丼」(1100円)。どちらも個性的で、富士そばらしい冒険心がにじんでいる。とくに後者は、うなぎの尊厳を完全に破壊しにかかっていて潔さすら感じる(提供店舗はこちら)。

過日、綾瀬店で「うなマヨソース丼」を試してみた。見た目はほかのミニ丼セットと大差ない。変に高級感を演出していないのは好感がもてる。うなぎはほぐされていて、なんとなくひつまぶしっぽさもある。不揃いのほぐし身を使うことで、コストを抑えているのかもしれない。

タレは濃厚で、うなぎによく絡む。これだけでもごはんが進む味つけだが、そこにニンニク入りのマヨソースを投入。ジャンクフード極まりなく、生前のうなぎもこのように調理されるとは思いもしなかっただろう。
邪道も邪道のアレンジだが、これはこれで有り。ここまで振り切るなら、ほかのアレンジも見てみたくなる。競合店のうなぎメニューと張り合う必要はないから、富士そばは独自のスタイルを貫いてほしい。
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