658杯目:富士そば富士急ハイランド店でFUJIYAMAセット
7月15日、富士急ハイランド内に富士そば初のフランチャイズ店となる「富士急ハイランド店」がオープンした。富士そばは東京・千葉・埼玉・神奈川に拠点を置き、そのエリア戦略を60年近く貫いてきた。ところが、ここにきて突然の山梨進出である。まさか、私が生きている間に関東圏を飛び出すなんて……。プレスリリースを読んだときは驚きよりも戸惑いのほうが大きかった。

よくよく考えてみれば、富士そばの屋号は富士山に由来する。富士山を抱く山梨県は、富士そばにとって“心のふるさと”であり、同じく「富士」を冠する富士急ハイランドは遠い親戚のようなもの。その間柄なら、今回の協業にも妙な納得感ある。
もちろん嬉しいニュースではある。だが、一抹の不安もあった。はたして、富士そばの味はどこまで再現されているのだろうか――。真相を確かめるべく、オープン初日に足を運んだ。

13時のオープンを前に、店頭にはすでに行列が伸びていた。「みんな、富士そばに興味津々だな」とほくほくしていたそのとき、突き刺すような絶叫が響いた。反射的に顔を上げると、ジェットコースターが轟音を立てて店舗の真後ろを駆け抜けていく。そう、この店はちょうど「ええじゃないか」の落下地点に位置しているのだ。

プレスリリースには「FUJIYAMAとええじゃないかを結ぶ、主導線上にある格好のロケーション」とあり、実際、列に並んでいるあいだも、絶えず嬌声とも悲鳴ともつかない声が聞こえてきた。

食べごたえのあるメニューが中心で、なかには「麻辣いかそば」「これでもかとろろそば」、「贅沢しあわせ三元豚かつとじカレー」といった変わりダネも。とくに食べ歩き用の「富士しばカップ」(要は丸亀シェイクうどんのそば版)は、どこに出しても恥ずかしくない珍そばである。
看板メニューは「FUJIYAMAセット」と「ええじゃないかセット」(ともに2290円)。前者は、そばとうどんを盛りつけた「うそば」と天丼のセット。後者はうそばとカレー丼の組み合わせである。天ぷらが気になったので、今回は「FUJIYAMAセット」を注文することにした。

食券を買って待つこと5分、料理が提供された。富士山を逆さにしたような丼は、富士急ハイランド店だけの特別仕様。ごはんを覆い隠すように、紅生姜天、海老天、ちくわ天、かぼちゃ天などがぎっしり盛りつけられている。そこにうそばまで付いてくるのだから、かなりのボリュームだ。サンプル写真を見て覚悟していたものの、実物を前にすると思わず圧倒されてしまった。
紅生姜天はまさに富士そばの味。山梨の人たちへのあいさつ代わりとしては、この上ない一品である。海老天やかぼちゃ天も揚げたてサクサクで、立ち食いそば店の水準を超えている。言っちゃなんだが、直営店よりもクオリティが高い。

もしかしたら、天丼よりも「うそば」のほうがインパクトを残すかもしれない。これが東京のスタンダードだと思われたらどうしよう。都民としては少々複雑である。味は見た目どおりで、変に奇をてらったところはない。この出オチ感も富士そばらしい。
うどんはおそらく直営店と共通。一方、そばはどことなく細く感じた。紀州屋製麺なのか、興和物産なのか、それとも別の製麺業者なのか。そのあたりは、いずれ明らかになるだろう。
つゆは完全再現されている。醤油の効いたストロングスタイルで、かつおの風味がじわりと余韻を残す。そばをざぶっと浸して一気にすすれば、そこはもういつもの富士そばだ。

メニューや内装の雰囲気からして、立ち食いそば店というより、そばレストランといった趣き。富士そばのおもしろおかしい世界観を、富士急ハイランド流にうまくアレンジしている。店内にはおなじみの演歌が流れ、富士そばへのリスペクトもしっかり感じられた。普段から直営店を利用している人でも、きっと新鮮な驚きがあるに違いない。
おまけ
















コメントを残す