2023-01-08

コラム9:富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 最優秀賞を発表! 50品のなかから珍そばの頂点を勝手に決める

 富士そば・オブ・ザ・イヤー2022が決定しました。2022年の間に食べた店舗限定メニュー、タペストリ(季節限定)メニューのなかから約70品を厳選。50位から1位(最優秀賞)までをランキング形式でご紹介します。結果だけを知りたい方はこちら

■富士そば・オブ・ザ・イヤーについて
「富士そば・オブ・ザ・イヤー(FOTY)」とは、このブログの管理人が年内に食べた“珍そば・奇そば”を選評するランキング(そば以外のメニューも含まれる)。「インパクト」「アイデア」「希少性」「筆者の思い入れ」の基準にもとづいて評価します。
※このランキングは、管理人の独断と偏見によるものです。順位や内容について、店舗や運営会社に問い合わせることはやめてください。

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022の総評
 2022年は、外連味のあるの店舗限定メニュー、期間限定メニューが乏しかったように感じました。それは前年にもいえることですが、今回はすこし事情が異なりそうです。前年は、コロナ禍による客離れや人材不足の影響から、珍そば・奇そばの登場機会が落ちこみました。一方、2022年は原材料高騰が高いハードルになっていたように思います。実際のところ、「きつね丼」や「たぬき丼」「ツナマヨそば」のように既存メニューの食材をアレンジしたケースが目立ちました。しかしながら、必ずしも悲観する状況ではなく、各店の創意工夫に繋がったという見方もできます。発想力を活かした「恵の油そば」や「ごっついまぜそば」などがその好例です。 
 これは余談ですが、閉店が続いたことも、ファンに少なからぬ衝撃を与えたはずです。不況のあおりを受けてか、志木店、新井薬師店、仙川店、経堂店、瑞江店が閉店。長い歴史に幕を閉じた経堂店、新井薬師店については、SNSでも別れを惜しむ声が散見されました。
 もちろん、明るいニュースもあります。例えば、1年4か月ぶりに復活した「肉骨茶そば」。あの唯一無二の味わいを待ちわびていたファンも少なくないでしょう。徳島県とコラボした特産キャンペーンも二度にわたって開催されました。従来のそばや乱切り蕎麦に続く「ごっついそば」の登場も富士そば史の大きな節目になるでしょう。
 こうした流れを踏まえると、今後も店舗単体の限定メニューは縮小していくはずです。逆に、スケールメリットを活かした全点共通の季節限定メニューや複数店舗で取り扱うメニューでインパクトを狙っていくのではないでしょうか。珍そば・奇そばが多くの店舗で味わえるようになれば、それはそれで有りです。

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 50~41位

 2022年は、ご飯系の限定メニューが多かったように思います。データを取ったわけではありませんが、前年比の1.5倍ほどに増えたような……。確かに、そば系よりもご飯系の方が手堅いメニューが作れそうです。そんなメニューが50〜41位に集中してランキングしています。
 48位の「たぬき丼」は、一種の発明だと思います。「富士そば最安値」の謳い文句は、伊達じゃない。取り扱い店舗も徐々に増えています。

50位:うなぎ丼セット(三光町店ほか)
49位:ミニ鶏そぼろ玉子とじ丼セット(川崎西口店)
48位:ミニたぬき丼セット(荻窪店)
47位:ミニきつね丼セット(船橋店)
46位:2色もりそば&茶そば)(秋葉原店)
45位:とじおかか丼セット(北千住東口店)※ブログ未公開
44位:ミニひと口鶏天卵丼セット(秋葉原店)
43位:スパイスかつ丼(赤坂見附店)
42位:ミニおろし豚丼セット(三光町店)
41位:ミニ味玉明太丼セット(御徒町駅前店)※ブログ未公開

ミニ味玉明太丼。鶏卵と魚卵のダブルパンチ!

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 40~31位

 34位の「イカリング丼」は、(勝手に)期待していたわりにインパクトが弱かったです。しかし、紅生姜入りマヨネーズのアイデアは秀逸。これが「イカリングそば」だったら、上位入り間違いなしでした。「薬味まぜそば」や「すだちおろしそば」も満足度は高かったのですが、もう一捻り工夫があれば楽しかったかも。
「にゅうめん」は、おそらく「そうめん」の在庫を消化するためのメニュー。すぐに売り切れるので、見つけた人はラッキーです。

40位:すだちおろしそば(全店提供)
39位:山菜天そば(新小岩店)
38位:ミニ赤富士丼セット(全店提供)
37位:ミニ山椒焼き鳥丼セット(十条店)※ブログ未公開
36位:薬味まぜそば(新宿都庁店)
35位:にゅうめん(金町店)
34位:ミニイカリング丼セット(板橋店ほか)
33位:ゆず鶏明日葉そば(三光町店)
32位:もつ煮玉カレーライス(御徒町駅前店)
31位:煮干し鶏つけそば(浜松町店)

紅生姜入りマヨのアイデアはよかった、ミニイカリング丼

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 30~21位

 30位以降ともなると、グっとくるネーミングのメニューが増えます。富士そばにおいて、ネーミングの情報量は味の情報量と比例します。開発者が趣向を凝らすほど、ネーミングはより複雑になるわけです。例えば「唐メンかつ丼」や「炭火鶏の玉子とじつけそば」などは、券売機でも目をひきます。「たまご玉子丼」と「ほわっとそば」の出オチ感は否めませんが、これもまた富士そばイズム!

30位:徳島特製かき揚げそば(全店提供)
29位:富士そば カップ麺(小売り・通販)
28位:新 肉骨茶そば(全店提供)
27位:ほわっとそば(ふじみ野店)
26位:梅しそとり天そば(西小山店ほか)
25位:炭火鶏の玉子とじつけそば(自由が丘店)
24位:ミニ背脂にんにく卵かけご飯セット(北千住東口店)
23位:ミニ生姜サバかつ丼セット(明治通り店)
22位:唐メンかつ丼をテイクアウト(北千住東口店)
21位:ミニたまご玉子丼セット(北千住店)

ミニ背脂にんにく卵かけご飯は、インスパイアそばの背脂を活用

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 20~11位

 トップ10入りしてもおかしくない、オリジナリティあふれるメニューが出揃いました。「きつねのこめいり」はネーミングの妙にやられました。同時期に「海のとじ丼」なるメニューも並んでいました。言わずもがな「海のトリトン」をなぞらえたもの。開発者がダジャレ好きなのかもしれません(公私混同ですね)。
 上板橋店は「ダブル飛魚天丼」以外にも「わかさぎ天」や「キス天」などを提供。富士そばマニアの情報によると、いずれも店主が釣ってきた魚とのこと。なんだか、気のいい大将が営む居酒屋のようです。富士そばでは原則、生魚を使うことを禁止していましたが、ここにきて「ネギトロ丼」を提供する店舗も現れました。ルール緩和の経緯は定かではありませんが、今後のメニュー多様化に繋がりそうです。
「冷し合鴨そば」もシンプルな品名からは想像もつかない、クセものです。開発者に迷いがあったのか、それともおもてなし精神の表れか、やたらと薬味・タレがついてくる。前述のネーミングの法則を無視した稀有な例です。

20位:ミニネギトロ丼セット(大井町店ほか)
19位:ミニカニ風サラダ丼(市ヶ谷店)
18位:冷しツナマヨそば(吉祥寺店)
17位:冷し合鴨そば(板橋店ほか)
16位:ミニダブル飛び魚天丼セット(上板橋店)
15位:恵の油そば(恵比寿駅前店)
14位:汁なし担々麺(船橋店)※ブログ未公開
13位:ごっついそば 肉(西荻窪店)
12位:ピリ辛豚キムチそうめん(金町店)
11位:きつねのこめいり 温玉カレー(渋谷桜丘店)

シンプルな品名に反して、情報量が多い冷し合鴨そば

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 10~2位

 今回も北千住東口店、御徒町駅前店、市ヶ谷店の勢いがすごい。富士そばはメニュー開発を店長に委ねていますが、この3店はいくらなんでも自由すぎます。店長が本社の弱みでも握っているのでしょうか。2023年もこの姿勢を貫いて、アっと驚く珍そば・奇丼を開発してほしいです。
 おなじみの店舗が上位を占めるかと思いきや、予想外の伏兵も現れました。小瀧橋店と秋津店です。とくに秋津店の「ねぎニラそば」は、自家製調味料「からいよ」との相性も抜群で、堂々のトップ10入り。笹塚店の「春の豚つけそば」は、目新しさこそありませんが、オリジナルのPOPが見事。いままでにないアプローチに心躍りました。

10位:ごっついそば(北千住東口店ほか)
9位:春の豚つけそば(笹塚店ほか)
8位:MARVELOUS そば(北千住東口店)
7位:串天そば(小滝橋店)
6位:ねぎニラそば(秋津店)
5位:クォーターレモンチキンそば(下北沢店)
4位:旨辛! 肉味噌そば(市ヶ谷店)
3位:インスパイアそば(北千住東口店)
2位:はみ出る!? ダブル豚バラ天そば(御徒町駅前店)

ダブル豚バラ天の復活を願う

■富士そば・オブ・ザ・イヤー2022 最優秀賞 ごっついまぜそば

 最優秀賞は、西荻窪店発の「ごっついまぜそば」に決定! 「ごっついそばのトップ10入りは固いだろう」と考えていたのが、2022年7月ごろ。ところが、その約3か月後にアレンジメニューの「ごっついまぜそば」が登場して、一躍首位に躍り出ました。正直なところ、麺自体のインパクトが強い「ごっついそば」は、アレンジに不向きだと思っていたのです。そんな汎用性のなさそうな麺を見事、別物に昇華してみせたのが西荻窪店。いやあ、アッパレ。文句なしの最優秀賞です。

彩りのよさにも注目したい

■過去のFOTYについて
富士そば・オブ・ザ・イヤー2015
富士そば・オブ・ザ・イヤー2016
富士そば・オブ・ザ・イヤー2017
富士そば・オブ・ザ・イヤー2018 ※休止
富士そば・オブ・ザ・イヤー2019
富士そば・オブ・ザ・イヤー2020 ※メディア企画として実施
富士そば・オブ・ザ・イヤー2021

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